GPU(グラフィックスプロセッシングユニット)とは——AIインフラの心臓部を解説
GPUとは
GPU(Graphics Processing Unit:グラフィックスプロセッシングユニット)は、大量の演算を並列に処理することに特化した半導体チップです。
もともとはコンピューターゲームや映像制作における画像・映像処理を高速化するために開発されましたが、現在はAI(人工知能)の学習・推論、科学技術計算、シミュレーションなど、幅広い分野でなくてはならない存在になっています。
CPUとGPUの違い
コンピューターの中核を担うCPU(Central Processing Unit)と比較すると、GPUの特徴がよくわかります。
| 比較項目 | CPU | GPU |
|---|---|---|
| コア数 | 数〜数十コア | 数千〜数万コア |
| 得意な処理 | 複雑な論理処理・逐次処理 | 単純な演算の大量並列処理 |
| 汎用性 | 高い | 限定的(並列演算に特化) |
| 消費電力 | 数十〜数百W | 数百W〜1kW超 |
| 主な用途 | OS・アプリケーション全般 | AI・画像処理・シミュレーション |
CPUが「頭の切れる少数精鋭」なら、GPUは「単純作業を超高速でこなす大勢の作業員」というイメージです。
AIにGPUが欠かせない理由
AIの学習(トレーニング)では、数十億〜数兆個のパラメータに対して、行列演算(掛け算・足し算)を繰り返し大量に実行します。この処理はGPUの並列演算と極めて相性がよく、CPUと比べて数十〜数百倍の速度で処理できます。
生成AI(ChatGPTなど大規模言語モデル)の登場以降、AIに必要な計算量は急速に増大しており、GPUの需要も爆発的に拡大しています。
データセンターへの影響
GPUの普及はデータセンターに大きな変化をもたらしています。
電力密度の急上昇
汎用サーバーのラックあたり消費電力は5〜15kW程度でしたが、GPU搭載サーバーは一気に跳ね上がります。
| GPU世代 | 代表モデル | ラックあたり電力 |
|---|---|---|
| Pascal(2016) | P100 | 10〜15 kW |
| Ampere(2020) | A100 | 20〜40 kW |
| Hopper(2022) | H100 | 30〜60 kW |
| Blackwell(2024) | GB200 NVL72 | 120 kW超 |
液冷インフラの必須化
Blackwell世代(GB200)からは、NVIDIAが直接液冷(DLC)を必須要件として指定しています。空冷では物理的に排熱できないためです。これにより、GPU対応DCには冷却水配管・熱交換器・ポンプシステムなどの液冷インフラが不可欠になりました。
二極化するデータセンター
GPU対応(高電力密度・液冷)ができるDCと、できないDCの差が急速に広がっています。「AI対応DC」と謳っていても、実際には旧世代GPU(30kW/ラック程度)しか対応できない施設も多く、調達時の確認が重要です。
主要GPU製品(DC向け)
NVIDIAがデータセンター向けGPU市場で圧倒的なシェアを持っています。
| 製品名 | 世代 | 主な用途 |
|---|---|---|
| H100 SXM5 | Hopper(2022) | LLMトレーニング・大規模推論 |
| H200 | Hopper派生(2024) | H100の後継・HBM3e搭載 |
| GB200 NVL72 | Blackwell(2024〜) | 次世代LLMトレーニング・超大規模推論 |
AMD(MI300シリーズ)やGoogleのTPU(Tensor Processing Unit)も一部用途でシェアを伸ばしていますが、エコシステムの成熟度からNVIDIAが依然として主流です。
DX担当者が知っておくべきこと
自社でAIシステムを構築・調達する際の実務的なポイントです。
クラウドを使う場合は、GPU種別(H100かGB200か)とリージョンの空き状況を確認しましょう。国内リージョンでは最新世代GPUのインスタンスが不足していることがあります。
コロケーションDCを使う場合は、対応している最大電力密度と液冷対応可否を必ず確認しましょう。GB200(Blackwell)を利用したいなら120kW/システム以上への対応が必要です。
自社DCにオンプレミス導入する場合は、既存施設の電力・冷却設備の改修コストが大きくなるケースがあります。電力・冷却・床荷重の3点を事前に確認することが重要です。
まとめ
GPUはAI・データセンター業界のコアコンポーネントとなっており、「どのGPUを、どこで、どのように動かすか」がITインフラ戦略の中心的な問いになっています。Blackwell世代以降はDCの物理設計にも根本的な変革を迫っており、今後もその影響は拡大し続けるでしょう。
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この記事は DCトレンド研究 が独立した第三者の立場で執筆しています。